「自動車の原型」、それは18~19世紀におこったイギリスの産業革命で生まれました。
当時のイギリスは、世界をリードする産業大国で、新たな発明が数多く生まれ、石炭などを使った蒸気機関を工場の原動力とした先進的な事業が数多くありました。
その中で、この「蒸気機関」を交通の手段に取り入れたものがあったのです。
1765年、ジェームズ=ワットの蒸気機関が実用化されたことがヒントとされています。
ここから新たな「蒸気自動車」が誕生したのです。
ワットの蒸気機関実用化から4年後の1769年、フランス人、ニコラス=ジョゼフ=キュニョーが初めて実際に路面走行が可能な蒸気機関での自動車、「蒸気自動車」を作りました。
この蒸気自動車は、「Fardier Vapeur」(蒸気ワゴン,蒸気トラクター)と名付けられました。
初の蒸気自動車は15分ごとに水の補給が必要なことや、車体が重過ぎる事によりバランスが崩れ総従が困難なこと等さまざまな問題がありました。
製作者本人が制御の難しさにコントロールを失い、車を大破させてしまったそうです…。
これに懲りたキュニョーは実験を諦めてしまいました。
しかし、彼の業績は偉大でした。
ここから蒸気自動車の可能性が開かれたと同時に、「軽量化」、「安全性」など蒸気自動車の課題をしっかり示してくれたのです。
1781年、イギリスで発明家のウイリアム=マードックとかの有名なジェームズ=ワットが、それぞれ蒸気自動車を製作しました。
そして1784年には復水器なしの高圧の蒸気エンジンで、4輪のワゴンを製造しました。
1786年にはイギリスの発明家ウイリアム=シミントンが、「スチームキャリッジ」と命名した模型を作っています。
その後、蒸気自動車のアイディアは産業先進国のアメリカ、フランス、イギリスなどに広まって進化を遂げ、「軽く、安定し、補給が少なくて済む」ボイラーを研究し始めました。
そんな中、1801年フランスの科学者フィリップ=レボンは、今までとは違う、新エンジンを発明したのです。
レボンのエンジンは、空気と石炭ガスの混合物で動力を生み出す仕組みでした。(今のガソリンエンジンに近い仕組み。)
しかし1804年に彼が殺害され、この新しいエンジンの発展はその後50年間ストップしてしまうこととなるのです。
レボンと同じく、1801年イギリスの発明家リチャード=トレビシックが乗客を運ぶための自動車をはじめて作りました。
数名を乗せながらイローガン(トレビシックの住んでいた町)の公道を走ったそうです。
この成功は、高圧蒸気によりピストンを動かすという、高性能の動力源を持ちながらも小型エンジンを作ったことによるものです。
今は自動車大国となったアメリカ合衆国の道路を初めて自走したのは、発明家オリバー=エバンズが手掛けた自動車でした。
1789年、エバンズがアメリカで初となる蒸気自動車に関する特許権を獲得します。
その14年後である1803年、彼は蒸気浚渫機(しゅんせつき)を作り、アメリカの道路を初走行します。
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